2015年3月7日土曜日

キューの特徴

キューの特徴


・タップ

一般的プレーヤーが意外と軽視しているのがタップである。タップはショットのタッチやキュー切れに最も影響すると考えている。
硬さ・材質・製造方法にいろいろ種類があり、プレーヤーにより好みが分かれる。
硬いタップはキュー切れが良く、硬いタッチとなる。しかし、キュー切れが良いぶん撞点の微妙な違いで中心を撞いたつもりなのに、引けたり押してしまったりすることがある。
柔らかいタップはその逆で、上品なタッチではあるが切れが悪くなる。
最近はキューを購入した時点で良質なタップが取り付けられていることが多くなってきているが、私の購入したキューは撞いたときにコツンという変な音がしていた。
キュー自体の特徴と考え1年間使用していたが、タップが広がることはなかったことからも、かなり硬いタップだったのだろう。
最近タップを交換したら、全く別のキューになったような上品な感覚になった。
タップは安価であり最もキューの特徴に影響する部分なので、いろいろ試して自分にあったものを見つけたい。
最後に付け加えると、上級者は硬いタップを好む傾向がある。きっと完璧に思い通りの撞点を撞き分けられるからだろう。



・シャフト

シャフトはキューの性能を大きく左右する部分であり、シャフトのしなりが戻されるタイミングと球をリリースするタイミングが一致すれば、スイングスピードを上回るキュースピード(エネルギー)で手球を撞くことができる。
しなるシャフトほどスイングスピードが遅い場合にキューの性能を最大限に発揮でき(キュー切れが良い)、しっかりしているほど速いスイングスピードのときにキューの性能を最大限に発揮できる(パワーがある)。
通常のショットでは、シャフトがしなりやすければキュー切れがよく、しっかりしていればパワーがあるキューだと考えている。
ここで勘違いしないで頂きたいのは、しなるシャフト(キュー切れの良いキュー)を用いてブレークのように最大の力で撞いて、押し・引き・ひねりを入れて手球に回転を与えようとしても、シャフトのしなりが戻される前に手球がリリースされてしまい期待しているほどキューは切れてはくれないばかりでなく、ずれが大きく(見越しが必要)なってしまう。
また、当然のことであるがシャフトが細ければしなりやすく、太ければしっかりしている。キューメーカー各社は、キュー切れとパワーのトータルバランスを上げようと研究をかさねている。
(シャフト先端からジョイントにかけて、どのあたりからどれだけ太くしてゆくかによってキューの特徴が変わる)
即ち、キュー切れがあってパワーがあって見越しが少ないキューなど存在せず、自分のプレースタイルに応じたキューを選ぶ必要がある。

シャフトの太さ 太い ←   → 細い
キュー切れ 悪い ←   → 良い
パワー 大きい ←   → 小さい
ずれ 小さい ←   → 大きい

友人やお店の協力を得て、キューのシャフトの太さを測定した結果を記すのでキュー購入の際に参考としていただきたい。
(各メーカー1本ずつの測定であり、シャフトはニスを落とす程度にやすってあるのであくまでも参考までに)

先角 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600 650 700
314 12.7 12.7 12.7 12.8 12.9 13.0 13.1 13.3 13.7 14.3 15.0 16.2 17.7 19.3 20.8
schon 13.0 13.1 13.1 13.2 13.3 13.5 13.8 14.2 14.8 15.6 16.5 17.4 18.5 19.7 20.9
mezz 13.0 13.0 13.0 13.0 13.0 13.1 13.4 14.1 14.9 16.0 17.3 18.6 19.8 20.7 21.1
lucasi 13.0 13.0 13.1 13.2 13.3 13.5 13.7 13.9 14.3 14.8 15.5 16.4 17.5 18.8 20.4
meucci 13.0 13.0 13.1 13.1 13.2 13.2 13.3 13.5 13.8 14.5 15.6 17.0 18.2 19.3 20.2
joss 13.0 13.0 13.2 13.3 13.4 13.5 13.6 13.8 14.1 14.7 15.5 16.5 17.6 18.8 20.1
adam 13.0 13.1 13.2 13.3 13.4 13.7 14.1 14.6 15.2 16.1 17.0 17.8 18.6 19.5 20.4
pechauer 13.0 13.0 13.0 13.0 13.1 13.3 13.7 14.5 15.5 16.5 17.5 18.4 19.3 20.3 21.3









先角 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600 650 700
south west 13.0 13.1 13.2 13.2 13.3 13.5 13.8 14.2 14.7 15.3 16.1 17.0 17.9 18.9 20.1
bludworth 13.0 13.1 13.2 13.3 13.4 13.6 13.8 14.1 14.7 15.5 16.4 17.2 18.6 19.75 20.9
cognoscenti 13.0 13.0 13.1 13.2 13.3 13.6 13.9 14.2 14.6 15.4 16.2 17.2 18.4 19.8 21.2
dp 13.0 13.2 13.4 13.6 13.8 14.1 14.4 14.7 15.2 15.9 16.9 18.0 18.9 19.75 20.8
schon ltd. 12.7 12.8 12.8 12.9 13.0 13.1 13.4 13.7 14.4 15.2 16.2 17.2 18.3 19.6 20.8
espiritu 13.0 13.0 13.1 13.1 13.1 13.3 13.6 14.0 14.8 15.8 16.9 18.0 19.1 20.5 21.5
ed pruit 13.0 13.1 13.2 13.3 13.3 13.6 13.9 14.4 15.0 15.7 16.5 17.4 18.6 19.6 20.7
dan dishaw 13.0 13.1 13.1 13.1 13.2 13.3 13.4 13.8 14.6 15.6 16.6 17.5 18.6 19.7 21.0


 




自分の使用しているキューの切れが悪いと感じた時には、紙やすりで細くすると全く性能が変わっておもしろい。
ただし、キューメーカーはバット・ジョイントを含めシャフトの太さのバランスを考えているので、基本的にはメーカーオリジナルがベストである。
どうしてもキューが気に入らなくて、新しく購入しようと考えたときには、購入前に自分流シャフト修正を実施するのも良い。
道具というのは不思議なもので一度気に入らなくなると気分的に乗れず、使っていても楽しくないものであるから・・・。
最近はテーブル&ラッシャの程度が良い店が増え、非常に手球が走りやすくなってきている。
したがって、大きなキュー切れが必要とされなくなり、ずれが少なくパワーの大きい太めのシャフトが好まれてきている。
これは私の考えであるが、上達するには太めのシャフトを使用した方が良い。
なぜなら、キュー切れが悪いとネキストの出せる範囲が限られてくるため、2ショット先までの取り(ふりの残し)を考えるくせが身につく。
また、的球に影響するスロウなどの悪さや、手球に発生する出したくないカーブなどが少なく正しい厚みが身につく。
また、的球にヒットした後の手球の動きも素直である。
(90度分離で進む距離が長く、手球をコントロールしやすい)


・ジョイント 

各メーカーが特色を出しているのがジョイントである。シャフトの軸芯とバットの軸芯を正確に合わせるため、はまり込みを設けたり、撞いた時の感覚を素直にバットに伝えるために極力ジョイントの接触部分(展開接触面積)を少なくしたり工夫しているものもある。
さらに金属ジョイントの最大の利点である、持ち運びのためにシャフトとバットを続ぎ外しするが、その時のジョイント部の損傷がほとんどなくかつ、木ねじの柔らかいタッチを兼ね備えようと工夫していたりする。
ジョイントの材質もメーカーにより、金属・木・エポキシ樹脂などがあり、それぞれタッチが異なる。
各メーカーのジョイント方式には、それぞれ優れた点がありプレーヤーにより好みが分かれる。


・バット

プレーヤーに満足感が得られるようにインレイ&ハギ等が施され、細工が細かくキュー職人の腕の見せ所でもある。
ほとんどの人はデザインの好みで選択し購入するのではないだろうか。
バット自体がキュー性能に与える影響は他のパーツほどには顕著には現れないと考えているが、振りやすさや握りやすさといった感覚に差がある。
振りやすさとは、キューのバランスポイントと全体の重さにより左右されると考えている。
基本的に前バランスであるほど同じ重さのキューでも振りやすく感じるのではないだろうか。
また、握りやすさとはグリップの太さにより左右されると考えている。
身長180cmを超える外国人プレーヤーと160cm台の日本人プレーヤーとでは、手の大きさも異なるので同じキューでプレーすることに疑問を感じている。
シャフトの特徴と同様に、各メーカーのキューの重さとバランス点およびグリップ中央部の太さ(糸巻き中央部)について測定したので参考として頂きたい。
(面白いことに、全く同じメーカーの同一型番のキューを比べても、キューの重さとバランス点は異なっていた。同じ設計思想で製作しても全く同じキューは製作できないのだろう。)



1oz=28.35g

バランス
:a(mm)
グリップの太さ
:b(mm)
重さ:g 重さ:oz 注記
lucasi(1) 200 28.45 542 19.1 リネン巻き
lucasi(2) 210 28.05 532 18.8 リネン巻き
lucasi(3) 225 28.20 520 18.3 リネン巻き
bludworth(1) 234 27.95 568 20.0 リネン巻き
bludworth(2) 252 28.15 552 19.5 皮巻き
dp 246 27.80 562 19.8 リネン巻き
schon 254 27.85 558 19.7 リネン巻き
adam 258 28.00 562 19.8 リネン巻き
mezz 260 28.30 545 19.2 リネン巻き
coker 265 27.60 518 18.3 リネン巻き
southwest 265 28.80 548 19.3 リネン巻き
cognoscenti 265 28.30 538 20.0 リネン巻き
joss 272 28.60 560 19.8 リネン巻き
meucci 295 28.30 540 19.0 リネン巻き
 
・ブレイクキューについて

ブレイクする時に手球に与えられるエネルギーは、1/2・MV^2である。ここで言うMはキューの重さとブレイクする時に乗せる体重の合計になるのかはよく分からないが、効率よくエネルギーを大きくするためにはV(キューの速度)を上げることである。
筋力があり重いキューを使用してもキュースピードが落ちないのであれば、可能な限り重いキューを使用すればよいが、エネルギーに関しては1乗でしか貢献しないため、あまり効果は望めない。
プロでもプレーキューよりブレイクキューを軽くしている人が多いと何かの書物で読んだことがあるが、理にかなっていると思う。
また、シャフトの特徴の項でも記載したがブレイク程のキュースピードで撞きだすと、柔らかいシャフトではシャフトのしなり戻しのタイミングと球をリリースするタイミングが合わず、キュースピードほど手球にスピードは乗らない。
最後に、手球の回転は的球群にはエネルギーとして伝わらないので、手球の回転量も少ない方が良い。

理論式
1/2・MV^2=1/2・mv^2+1/2・Iω^2+1/2・pδ

1/2・mv^2だけが的球群に伝わるブレイクのパワー(エネルギー)であり、大きなパワーでブレイクするためには手球に与える回転エネルギー 1/2・Iω^2を出来るだけ抑え、リリース時にキュー内部に残る歪エネルギー1/2・pδを少なくすることが必要である。
理想のブレイクは、手球のスピードが速く・回転は少ないことである。回転が少なければ手球がテーブルの中央付近に残るメリットもある。
私が考えるには、ブレイクキューはシャフトは堅めで太く・振り切れる軽さで・前バランスで・タップは柔らかい(回転量を少なくする意味で)ものが良いと考えている。
ただし、ブレイク時のインパクトの瞬間において撞点がしっかり中心を撞けるレベルであれば、タップはパワーロスの少ない硬い方が良いのであろう。
ただし私のように全体重を乗せてブレイクするタイプであるならば、なかなかインパクトの瞬間に手球の中心を正確に撞くことは難しいので、柔らかいタップをお奨めする。
 

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